患者が院を変える理由は腕の良し悪しだけではない
信頼できる先生とそうでない先生の差は、施術の腕よりも前に「説明」に表れます。これが、患者として何院も渡り歩いた私の結論です。
自己紹介が遅れました。私はセラといいます。現役の大型トラックドライバーで、治療家ではありません。
腰痛は数え切れないほど繰り返し、首は4回痛めました。ぎっくり腰も2回。
そのたびに病院と治療院を転々としてきた、いわば「患者のベテラン」です。あまり良いことではありませんけどね。
ちなみに、このブログを読んでいるあなたは、柔道整復師や鍼灸師など治療家の方だと思います。
だからこそ、私は施術台の上から見えていた景色を正直に書きます。耳の痛い話も含めて、患者は先生のここを見ていました。
私が通うのをやめた院に共通していたこと
私が2回目、あるいは途中で通うのをやめた院には共通点がありました。症状やこれから治療をしていくにあたっての説明がないことです。
ある院では、先生は淡々と施術するだけでした。
- 今どういう状態なのか?
- この施術で何を狙っているのか?
- あと何回くらい通えばいいのか?
ほとんど説明の無いまま、施術が終わって会計と次回予約だけが進んでいきます。聞かれるのは「痛いですか」だけ。こちらが症状の経緯を話そうとしても、途中で流されてしまったこともありました。
別の院では、初回の診察が終わると、次の予約をどんどん入れたがりました。見通しの説明がないまま通院の回数だけを求められると、患者の頭には「治療」ではなく「お金儲け」したいんじゃないの?
という思いが頭をよぎります。
誤解しないでほしいのですが、これらの先生の技術が低かったのかどうか、1回の施術では患者の私には分かりませんでした。判断する材料がないからです。だから患者は、唯一見えるもので判断します。
それが説明であり、こちらの話を聞く姿勢でした。不信感のある院に、痛みを抱えた体を預け続けることはできません。
「治せなかったらゴメン」と言った先生
一方で、いま思い出しても感謝しかない先生がいます。
4回目に首を痛めたときのことです。首の痛みに加えて、両手両足の先にピリピリとしたしびれが24時間続きました。
病院でMRIを撮っても「頚椎椎間板ヘルニアかもしれないが、実際のところは分からない」という説明で、私は「もう一生このままかもしれない」と本気で思い詰めていました。
その状態で頼った先生は、最初にこう言いました。
「この症状は、治せるかどうか微妙で何とも言えない。出来る限りのことをやってみるけど、もし治せなかったらゴメン」
不安になりそうな言葉に聞こえるでしょうか。実際は逆でした。できないかもしれないことを正直に言う先生だからこそ、「この人の言うことなら信じられる」と思えたのです。
そして、私は数回の施術を受けて、自宅でのリハビリ方法も教わり、実践しました。結果、私の場合は2ヶ月くらいで首の痛みが取れ、半年くらいで両手両足のしびれが消えていきました(経過には個人差があります。
「こうすれば治る」という話ではありません)。
良くなるかどうか分からない局面で患者が求めているのは、根拠のない「大丈夫ですよ」ではありません。分からないことは分からないと言ったうえで、一緒にやれることを示してくれる誠実さだと思いました。
信頼できる先生に共通していた3つのこと
私が整体や接骨院などを渡り歩いた経験を整理すると、通い続けたくなる先生には共通点が3つありました。
- 症状の状態と施術の方針を、素人に分かる言葉で説明してくれる
- 何回くらいの通院で良くなる見込みか、ある程度の目安を示してくれる
- 「この症状はうちでは対応できないかもしれない」と、できないことも正直に言う
どれも高度な技術の話ではありません。それでも、この3つが揃った院には私はほとんど出会えませんでした。逆に言えば、これができるだけで患者からの見え方は大きく変わります。
実際、半年通ったあの先生は「治ってよかったね」と本当に喜んでくれて、通院が終わってしばらくしてからわざわざ電話でその後の経過まで聞いてくれました。
私が今もハンドルを握れているのは、こういう先生たちのおかげです。
「説明できるかどうか」は先生個人だけの問題ではない
ここからが、治療家のあなたに一番伝えたいことです。
患者としてあちこちの院を見てきて気づいたのは、説明の丁寧さは先生個人の資質だけでは決まらない、ということでした。
1人あたりの施術時間が極端に短く、回転数を求められる院では、説明したくてもその時間がありません。次回予約を強く勧める方針が院として決まっていれば、勤務する先生に選択の余地はないでしょう。
つまり「患者に信頼される先生でいられるかどうか」は、働く院の環境と方針にも左右されます。
もしあなたが、患者と向き合う時間を取りたいのにそれが許されない環境で消耗しているなら、それはあなたの誠実さの問題ではなく、場所の問題かもしれません。
このブログでは、患者として治療家に支えられてきた私の立場から、治療家のキャリアと働く環境について書いていきます。あなたの誠実さが正しく評価される場所で働いてほしい。それが、救われた患者からの願いです。

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