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柔道整復師の年収が450万円は本当?統計と現場の数字の違い

給料・年収データ
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結論:どの数字も嘘ではない

柔道整復師の年収を調べると、3つの食い違う数字が出てきます。公的統計ベースで約430〜459万円、求人データで平均385万円、業界アンケートでは月給20万円弱という声。

どれかが嘘なのではなく、それぞれ見ている集団と測り方が違います。この記事では、その中身を出典つきで解説していきます。

先に、この記事の立ち位置を書いておきます。私は治療家ではなく、腰と首を何度も痛めて治療家に支えられてきた患者です。だからこそ、業界の内側の事情に忖度せず、公開されている数字をそのまま並べます。

最初に知っておくべき統計の限界

実は「柔道整復師」という職種単独の公的年収統計は存在しません。厚労省の賃金構造基本統計調査では、柔道整復師や鍼灸師は「その他の保健医療従事者」として一括集計されているためです。

これから紹介する公的統計ベースの数字も、厳密には近い職種を含んだ区分の値です。

この限界を書かずに「柔道整復師の平均年収は459万円」と断定しているサイトは、その時点で数字の扱いが雑だと考えていいと思います。

公的統計ベース:約430〜459万円

柔道整復師を含む区分の平均年収は、ここ数年で約430〜459万円の間を推移しています。

令和3年が約423万円、令和4年が約443万円、令和5年が約459万円、令和6年が約430万円です(出典:厚労省・賃金構造基本統計調査/job tag)。

なお、最新の令和7年調査では約454万円と、再び450万円台に戻っています。はり師・きゅう師も同じ区分で、平均年収は約459万円とされています(出典:job tag「はり師・きゅう師」)。

ただし、この平均には勤め先の規模による大きな差が隠れています。

同じ区分の事業所規模別データでは、従業員10〜99人の事業所で約404.7万円、100〜999人で約454.9万円、1,000人以上で約494.4万円。

規模の違いだけで約90万円の開きがあります(出典:賃金構造基本統計調査)。

この数値を見て分かるのは、従業員が多い勤め先ほど年収が高い。しかし、柔道整復師の主な職場である接骨院・整骨院は、そのほとんどが小規模です。

つまり平均値は、病院など大きな組織で働く人の給与に引き上げられている可能性が高いのです。

求人データ:平均385万円

実際の求人票を集計したデータでは、柔道整復師の平均年収は385万円、平均時給は1,265円です(出典:求人ボックス給料ナビ)。

公的統計より70万円以上低い数字ですが、町の接骨院で働く人の実感には、こちらのほうが近いのではないでしょうか。

さらに低い数字もあります。業界団体のアンケートでは、鍼灸師の月給相場が19.2万円、あん摩マッサージ指圧師が20万円という結果が報告されています(出典:教えてグッピー)。

月給20万円弱なら、賞与を含めても年収は300万円に届くかどうか。「統計では459万円なのに、手元の給与明細は20万円」。つまり、実際は統計ほど給与は高くないという話です。

この業界で働く人なら心当たりがあるはずです。

年代別に見ると40代前半で頭打ちになる

もうひとつ直視したいのが、昇給カーブの形です。

柔道整復師の年代別年収は、20〜24歳で約355万円、25〜29歳で約394万円、30〜34歳で約419万円、35〜39歳で約450万円、40〜44歳で約500万円。

そして45〜49歳では約455万円へ下がります(出典:賃金構造基本統計調査をもとにしたマイナビコメディカルの集計)。

一般的な会社員の賃金カーブは50代前半まで上がり続けますが、この業界は40代前半がピークです。手技で体を使う仕事ゆえに、年齢とともに施術量を維持しにくいことが背景にあると見られます。

「今の給料」だけでなく「この先の給料の形」まで見ておく必要があります。

何故この業界は給料が上がりにくいのか?

雇われ柔道整復師の給料が上がりにくい理由は、個人の努力不足ではなく業界の構造にあります。

収入の原資である柔道整復療養費は、ピークの2011年度の約4,000億円強から一貫して減り続け、2021年度には2,867億円になりました(出典:厚労省資料)。

一方で施術所の数は2020年末に50,364カ所に達し、2024年も50,924カ所。コンビニ(約5.6万店)に迫る水準で飽和しています(出典:厚労省・衛生行政報告例)。

パイが縮み、分け合う店舗は増える。雇われの昇給原資が生まれにくいのは、この構図の帰結です。

数字とどう向き合うか

持ち帰ってほしいのは2点です。第一に、「平均450万円」を鵜呑みにしないこと。その平均は大規模事業所に引き上げられた数字で、小規模院の実感は385万円以下に寄ります。第二に、年収は40代前半で頭打ちになる構造があること。

だからこそ、比べるべきは「世間の平均と自分」ではなく、「今の職場の給与カーブと、他の選択肢の給与カーブ」です。次の記事では、この構造を踏まえたキャリアの選択肢を具体的に見ていきます。

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